「熨斗瓦(のし瓦)」という瓦をご存知でしょうか。
古くから日本建築に使用されてきた瓦建材のひとつです。
本記事では、熨斗瓦の役割や必要なメンテナンスについて紹介します。
「熨斗瓦(のし瓦)」とは
棟に積み上げる平たい瓦
平たく縦長な瓦で、瓦屋根に使用される瓦の一種です。
瓦屋根の棟はこの熨斗瓦を積み上げる、棟積みという作業によって作られます。
下の数段は熨斗瓦をそのまま積み、上段の方は半分に割った熨斗瓦を積み上げます。
棟自体がどこを指すのかわからない方は以下の記事をご覧ください。
棟の内部に雨水を侵入させないための瓦
上述の棟積みという工程は、雨水侵入防止のために行います。
高く積み上げるほど防止効果は上がるものの、棟積みには高度な技術を要するため誰にでもできる作業ではありません。
棟は瓦屋根の中でも最も雨漏りのリスクの高い部位のため、施工は熟練の職人に任せることをおすすめします。
熨斗瓦の醸し出す格式高い雰囲気
熨斗瓦の魅力はなんといっても、その外観にあります。
伝統的な日本建築においては、棟を高く積み上げることによってより格式高い印象を醸し出します。
反対に、低めに棟積みを行うと優しい素朴な印象となります。
熨斗瓦に関する近年の傾向
近年の傾向として、熨斗瓦の出番は減りつつあります。
理由は瓦屋根自体の減少や、瓦屋根の中でも和瓦の使用機会の減少です。
熨斗瓦は瓦屋根の中でも和瓦屋根の棟で使用されます。
しかし近年は洋瓦を使用する家も増えているため、熨斗瓦の出番がないのです。
また和瓦屋根であっても、洋瓦屋根のように熨斗瓦を使用しない棟にリフォームするケースもあります。
とはいえ神社仏閣や、昔ながらの日本建築にこだわりのある家においては根強く熨斗瓦の人気は続いています。
熨斗瓦のメンテナンス
ひび割れや欠けが発生することも
熨斗瓦を含め瓦は非常に耐久性に優れているため、基本的には経年劣化は発生しません。
しかし高く積み上げた棟の場合、その重みで一定の負荷がかかるため大きな地震が起きた際などに熨斗瓦にひび割れや欠けが発生することがあります。
熨斗瓦周辺で起こる経年劣化
熨斗瓦自体に経年劣化がなくとも、その周辺でトラブルが起こることはあります。
例えば漆喰の劣化や棟自体のずれ・歪みなどです。
特に漆喰の劣化は基本的に避けられません。
漆喰のひび割れや欠けは10年ほどで起こることが多いため、定期的に補修を行いましょう。
漆喰の経年劣化については以下の記事で詳しく紹介しています。
まとめ
屋根や瓦を長持ちさせるためにも、定期的に屋根のメンテナンスを行いましょう。
ご自宅のメンテナンスに関して、お困りごとがある際はお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
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