はじめに
近年、住宅の屋根材として注目を集めているのが「ジンカリウム鋼板」です。優れた耐久性と耐候性を持ち、美しい外観を長く保つことができるため、新築やリフォームで人気が高まっています。 この記事では、ジンカリウム鋼板の特徴や種類、施工方法、メンテナンス方法、価格相場など、ジンカリウム鋼板屋根について詳しく解説していきます。屋根材選びで迷っている方や、ジンカリウム鋼板に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
ジンカリウム鋼板とは?
ジンカリウム鋼板の歴史は、1970年代にヨーロッパで開発されたことに始まります。
アルミニウム、亜鉛、シリコンからなる合金でめっき加工された鋼板です。 具体的には、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の組成で、 アルミニウムの耐食性、亜鉛の犠牲防食作用、シリコンの結合材としての役割により、非常に高い防錆効果を発揮します。 この合金めっきにより、鋼板表面に緻密で安定した保護層が形成され、優れた耐食性を実現しています。
素材としての特徴
ジンカリウム鋼板は、以下の優れた特性を備えています。
- 高い耐久性
めっき層が鋼板を保護するため、錆びにくく、酸性雨や塩害にも強いのが特徴です。 - 優れた耐候性
紫外線や温度変化にも強く、長期間にわたって美観を維持できます。 - 軽量
鋼板であるため、瓦やスレートなどの屋根材に比べて軽量です。そのため、建物の構造への負担を軽減できます。 - 加工性
薄くて加工しやすいため、複雑な形状の屋根にも対応できます。 - 環境への配慮
リサイクル性に優れており、環境負荷の低減に貢献します。
種類と用途
ジンカリウム鋼板は、合金の配合比率や表面処理によっていくつかの種類に分けられます。
- 合金の種類
アルミニウム、亜鉛、シリコンの配合比率によって、耐食性や耐候性が異なります。 - 表面処理
塗装やエンボス加工など、様々な表面処理が施されています。
屋根材以外にも、外壁材、雨樋、ダクトなど、様々な用途に使用されています。 住宅、商業施設、工場など、幅広い建物でその特性が活かされています。
ジンカリウム鋼板屋根材の特徴
ジンカリウム鋼板は、屋根材としても多くのメリットを持っています。耐久性と耐候性に優れている点は、素材としての特徴で述べた通りですが、屋根材として考えた場合、さらに以下の点が挙げられます。
デザイン性も抜群!
ジンカリウム鋼板屋根は、シンプルなデザインから、和風、洋風、モダンなど、様々な建築様式に調和するデザインまで、幅広い選択肢があります。 平板、瓦棒、スタンディングシームなど、形状も多様で、住宅の外観に合わせて自由に選ぶことができます。また、カラーバリエーションも豊富なので、個性的な屋根を演出することも可能です。さらに、近年では、様々な表面加工技術も進歩しており、光沢を抑えたマットな質感や、独特の風合いを持つエンボス加工など、よりデザイン性の高い製品が登場しています。
他の屋根材との比較
屋根材 | メリット | デメリット | 耐用年数 | 断熱性 | 遮音性 | 耐火性 | 環境負荷 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ジンカリウム鋼板 | 軽量、耐久性が高い、耐候性に優れている、加工しやすい、リサイクル性が高い | 初期費用が高い、傷つきやすい、遮音性が低い | 30年以上 | やや低い | やや低い | 高い | 低い |
ガルバリウム鋼板 | ジンカリウム鋼板よりも安価 | ジンカリウム鋼板よりも耐久性が低い | 20~30年 | やや低い | やや低い | 高い | 低い |
瓦 | 重厚感がある、断熱性が高い、遮音性が高い | 重量がある、地震に弱い、高価 | 40~100年 | 高い | 高い | 高い | 中程度 |
スレート | 安価、施工が容易 | 耐久性が低い、割れやすい、アスベストが含まれている場合がある | 20~30年 | 低い | 低い | 中程度 | 高い |
上記のように、ジンカリウム鋼板屋根は、他の屋根材と比較して、軽量で耐久性・耐候性に優れており、リサイクル性も高いという特徴があります。初期費用は高めですが、長期的な視点で見ると、メンテナンス費用を抑えられ、経済的にもメリットがあります。
ジンカリウム鋼板屋根材の種類
ジンカリウム鋼板屋根材は、形状や表面処理によって様々な種類があります。
形状
ジンカリウム鋼板屋根材には、大きく分けて、立ちはぜ、瓦棒、平板の3つの形状があります。
- 立ちはぜ
縦葺きタイプの屋根材で、継ぎ目が立ちはぜになっているのが特徴です。すっきりとしたモダンな印象を与えます。
- 瓦棒
横葺きタイプの屋根材で、瓦のような凹凸があるのが特徴です。和風建築によく合います。
- 平板
平らな形状の屋根材で、シンプルなデザインが特徴です。
表面処理
- 塗装: 耐候性や意匠性を高めるために、様々な色の塗装が施されています。
- エンボス加工: 表面に凹凸をつけることで、光の反射を抑え、落ち着いた雰囲気を演出します。
ジンカリウム鋼板屋根材の施工
ジンカリウム鋼板屋根材の施工は、専門の知識と技術が必要です。
施工方法
ジンカリウム鋼板屋根材の施工は、以下の手順で行われます。
- 下地材の設置: 屋根の構造に合わせて、木材や鋼材などで下地材を組みます。
- 防水シートの施工: 下地材の上に、防水シートを隙間なく敷き詰めます。
- ジンカリウム鋼板屋根材の取り付け: 防水シートの上に、ジンカリウム鋼板屋根材を固定していきます。固定には、釘やビスを使用します。
- 継ぎ目の処理: 屋根材同士の継ぎ目は、シーリング材やstanding seamで処理することで、雨水の浸入を防ぎます。
注意点
施工時には、以下の点に注意する必要があります。
- 下地材の強度:ジンカリウム鋼板屋根材をしっかりと固定できる強度が必要です。
- 防水シートの施工:防水シートは、雨水の浸入を防ぐために重要な役割を果たします。隙間なく施工することが大切です。
- 屋根材の固定方法:屋根材の固定方法が不適切だと、強風などで屋根材が剥がれる可能性があります。
- 継ぎ目の処理:継ぎ目の処理が不十分だと、雨漏りの原因になります。
ジンカリウム鋼板屋根材のメンテナンス
ジンカリウム鋼板屋根材は、耐久性に優れていますが、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンス方法
- 点検:年に1回程度、屋根の点検を行い、破損や劣化がないか確認します。特に、錆の発生、シーリング材の劣化、固定金具の緩みなどは、早期に発見することが重要です。
- 清掃:雨どいなどに溜まったゴミや落ち葉などを除去します。
- 塗装:塗装が剥がれている場合は、塗り替えを行います。
耐用年数
ジンカリウム鋼板屋根材の耐用年数は、30年以上と言われています。 適切なメンテナンスを行うことで、40年以上も使い続けることが可能です。ただし、メンテナンスの頻度や環境、材料の品質によって異なります。
まとめ
ジンカリウム鋼板屋根は、耐久性、耐候性、デザイン性に優れた屋根材です。初期費用は高めですが、長期的な視点で見ると、メンテナンス費用を抑えられ、経済的にもメリットがあります。 また、リサイクル性が高く、環境にも優しい点も魅力です。 屋根材選びの際には、ジンカリウム鋼板をぜひ検討してみてください。
ジンカリウム鋼板屋根の導入を検討する際は、屋根の形状やデザイン、予算に合わせて、適切な種類のジンカリウム鋼板を選び、経験豊富な施工業者に依頼することが大切です。
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