「棟瓦(むねがわら)」という建材をご存知でしょうか。
独特の風格を演出することができるだけでなく耐久性にも優れた、棟に使用される建材のひとつです。
本記事では、棟瓦の説明および補修工事についてまとめています。
屋根の棟とは
上述の「棟に使用される建材」と聞いて「棟ってなに?」と思った方もいるでしょう。
棟とは、屋根の面と面が交差し山型になっている部分を指します。
大型台風がきた際には、落下や浮きが度々心配される部分です。
これは「屋根棟(やねむね)」とも言い、屋根の形状や素材によって種類が細分化されます。
棟の中にも種類があり、屋根のどこにある棟なのかによって名称が異なります。
そのため厳密に言うとてっぺん部分の棟は「大棟(おおむね)」と言いますが、よく使われる表現としては棟=大棟を指すことが多いです。
棟は、屋根面同士の接合部分を覆い屋根材を固定することで屋根の分水嶺となり、雨水の侵入を防ぐという重要な役割を持っています。
ただしこの重要な役割を持っている棟は、特性上強風の影響を受けやすく、剥がれ・飛散・変形といったトラブルが発生することがあります。
当然施工時には風荷重に耐えられるよう設計されているものの、日本のような台風の多い過酷な状況下では経年劣化を起こすことは避けられません。
棟瓦とは
棟瓦とは、棟をつくる際に使用される瓦を指します。
和瓦屋根を葺く際は、棟部分に熨斗瓦(のしがわら)を数段積み上げ最上段に棟瓦を重ねます。
積み上げた熨斗瓦の上から覆いかぶせるように重ねることで、雨水の侵入を防いでいるのです。
これを「棟積み(むねつみ)」と言い、雨水対策になるだけではなく和瓦屋根特有の佇まいや風格をつくり出しています。
棟瓦の劣化
棟瓦は費用が高額になり工期も長くなるものの、劣化が遅くメンテナンス頻度は少なく済む傾向にあります。
これは瓦自体の丈夫さに由来していて、瓦はほとんど経年劣化しません。
瓦の耐用年数は50年以上と言われており、非常に耐久性に優れているのです。
ただし台風などの自然災害時には、瓦が剥がれてしまったり欠けてしまうことがあります。
また、瓦同士の隙間を埋めている漆喰は経年劣化するため漆喰のメンテナンスや修繕は定期的に発生します。
漆喰はおおよそ10年で劣化し始め、ひび割れや欠けが起きることが多いです。
そのため棟瓦に関して起こる修繕としては、ずれてしまった瓦の積み直しや漆喰の再塗装などが挙げられます。
瓦を固定する漆喰の劣化や、台風などによるトラブルを加味すると10~20年に1回程度はメンテナンスを実施することが望ましいです。
棟瓦の補修工事
瓦の積み直し
棟瓦のズレや歪みが起きた際は、瓦の積み直しを行います。
積み直しは屋根の棟部分を解体し、新たな土台を作り瓦を積み直す工事です。
築20年ほど経過すると棟瓦を固定している銅線が経年に伴い少しずつ緩むため、瓦がズレやすくなります。
また、台風や地震によって棟瓦のズレや歪みが起きることもあります。
積み直しは築20~25年頃、もしくは台風や地震の後に行うケースが多いです。
一般的な家での費用は40万円〜80万円程度が相場となります。
漆喰の塗り替え
漆喰のひび割れや欠けが起きた際は、漆喰の塗り替えを行います。
ひび割れや欠けが起きても、すぐに雨漏りするということは少ないですが定期的なメンテナンスは必要です。
漆喰の劣化が築10年頃から始まるため、塗り替えは築15~20年頃に行うケースが多いです。
一般的な家での費用は25万~50万円程度が相場となります。
まとめ
屋根の上は、劣化状態をご自身で確認しづらい部分です。
瓦屋根だから大丈夫だと思いメンテナンスせずにいたらいつの間に劣化していた、というケースも少なくありません。
また近年、突然訪問し屋根のトラブルを指摘するような不安を煽る文言を用いてその場で修繕契約を結ばせ高額費用を請求する、という悪徳業者が増えています。
劣化による雨漏りなどの被害は勿論、悪徳業者による詐欺被害に遭わないためにも、専門知識を持った信頼できる業者に定期的なメンテナンス依頼を行ってください。
悪徳業者の手口や、対処法などについては下記の記事で詳しく紹介しています。
宜しければご覧ください。
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屋根のてっぺんリフォームとは
東京・神奈川・山梨の創業80年を超える老舗瓦屋3社による、屋根のてっぺんにある棟(むね)についての情報発信サイトです。
建物の中でも非常に重要な役割を持つ棟ですがその認知度は低く、気付いた時には取り返しのつかない事態になった家を瓦屋として多く見てきました。
また認知度の低さを悪用した悪徳業者も増えており、その被害は年々増加しています。
被害を未然に防ぐことが、老舗瓦屋としての使命と思い同じ志を持った3社共同で運営しております。