瓦屋根に使用されている瓦という建材は、非常に丈夫なため劣化することがほとんどありません。
そのため瓦自体の交換や修繕は滅多に発生しませんが、瓦棟や屋根全体がメンテナンス不要なのかというとそうではありません。
理由のひとつが、棟瓦に使用されている【漆喰の劣化】です。
本記事では漆喰の役割やその劣化、対処方法について紹介します。
棟や棟瓦について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
漆喰の役割と魅力
漆喰とはなにか、どのような役割を持つのか、については以下の記事で詳しく紹介しています。
漆喰の劣化内容を3つ紹介
欠け・ヒビ割れ
漆喰は施工時は湿っていて、その後数ヶ月かけて乾燥させます。
乾燥すると硬化するため、乾燥収縮や建物の微振動、台風などで欠けやヒビ割れが発生することがあります。
これは漆喰の性質上避けられない経年劣化です。
ただ、漆喰の欠け・ヒビ割れが多少発生しただけで雨漏りなどの致命的なトラブルに直結することはほぼ無いため、緊急性は低いでしょう。
変色・コケ
漆喰は経年とともに黒っぽく変色することがあります。
これは漆喰に生えたカビやコケが原因で、一度生えてしまうと漆喰の中に根を張り、漆喰の表面についた雨水を吸い上げてしまいます。
漆喰の奥にある葺き土に雨水が浸入しているために発生する現象です。
この雨水浸入は、放置すると将来的には雨漏りする恐れがあります。
剥がれ
葺き土へ雨水が浸入すると、乾燥湿潤の繰り返しや建物の微振動などで葺き土と漆喰の間に隙間が発生し、やがて漆喰が剥がれ落ちてきます。
漆喰の剥がれは徐々に発生するため、数か所漆喰の剥がれが発生しただけですぐに雨漏りするというものではありません。
悪徳訪問業者が「すぐに雨漏りして大変なことになる」と不安を煽ることがよくありますが、緊急性は少ないので、落ち着いて瓦屋根の専門業者に相談しましょう。
棟瓦に関する悪徳被害については、以下の記事で詳しく記載しています。
劣化した漆喰の修繕方法
漆喰の塗り替え
漆喰の塗り替えには、大きく分けて2パターンあります。
ひとつは既存の漆喰を残して上から重ね塗りをする方法で、もうひとつは既存の漆喰を取り除き新たな漆喰を塗り直す方法です。
どちらの方法が適しているかは、漆喰の劣化具合によって決まります。
塗り重ねるケース
小さなひび割れや欠けであれば、不備の起きている箇所に新たな漆喰を重ね塗りする方法が一般的です。
塗り直すケース
複数個所で漆喰の剥がれが起きている場合は、内側の葺き土が雨水を吸い劣化して棟の排水機能が正しく機能していない場合があります。
排水機能が正しく機能していないまま周りを漆喰で埋めてしまうと、漆喰を押し剥がすくらいの水分が内部のどこかに流れて雨漏りを起こす危険性もあります。
つまり漆喰の剥がれが起きている場合は、剥がれの原因も除去しない限り根本的な解決にはなりません。
塗り直しをする場合は、まずは劣化した漆喰の除去を行い葺き土が見える状態にします。
その後、葺き土を覆うように漆喰を塗り込み乾燥させて完了です。
メンテナンスの最適な頻度
漆喰の劣化はおおよそ10年で始まると言われています。
漆喰だけでなく屋根の他の部材の耐久性を加味しても、10~20年に1回はメンテナンスをすると良いでしょう。
漆喰の修繕における注意事項
漆喰は劣化したからといって「急を要して修理しなければいけない」「一刻も早く修理しなければ雨漏りしてしまう」というものではありません。
近年こういった不安を煽る形で修理を強引にすすめる悪徳業者被害も増えているため、漆喰の劣化に気付いた際はゆっくり慎重に修理および依頼する業者をご検討ください。
悪徳業者被害については以下の記事で説明・注意喚起を行っています。
まとめ
不具合が起きた際に正しく対処することはもちろん大切ですが、不具合が小さいうちに発見し小規模な修繕で済むようにすることも非常に大切です。
修繕が小さく済めば、当然工期も短く費用も少なく抑えることができます。
不具合の早期発見に必要なことが、定期的なメンテナンスです。
修繕費用については以下の記事で詳しく紹介しています。
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また認知度の低さを悪用した悪徳業者も増えており、その被害は年々増加しています。
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