「いぶし瓦」という瓦をご存知でしょうか。一言でいうなら、瓦の種類のひとつです。
いぶし瓦とは伝統的な日本家屋や神社仏閣の屋根に用いられる銀鼠色の瓦で、特有の深い味わいを醸し出しています。
いぶし銀というワードを聞いたことがある方もいるかもしれませんが、いぶし瓦の渋い銀色がまさにいぶし銀です。
本記事では、いぶし瓦を用いた屋根および日本家屋について取り上げています。
瓦の種類のひとつ「いぶし瓦」とは
いぶし瓦とは粘土瓦という、文字通り粘土を焼いて生産する瓦の一種です。
粘土瓦の中には「陶器瓦」(釉薬瓦)というものもありますが、陶器瓦といぶし瓦は焼成方法が異なります。
粘土瓦は成型したあと上薬を塗ってから焼き上げるのに対し、いぶし瓦は成型後そのまま蒸し焼きにするのです。
蒸し焼きにする中で表面に炭素膜が形成されることで、特有の銀鼠色をつくりだします。
陶器瓦といぶし瓦の違いについては以下の記事でより詳しく紹介しているため、宜しければぜひご覧ください。
いぶし瓦を使用した屋根の特徴
格式高い雰囲気を醸し出す
日本家屋や神社仏閣に使用されるいぶし瓦には、格式高い雰囲気があります。
近年人気が高まっている屋根材は他にもたくさんあるものの、いぶし瓦の持つ雰囲気は唯一無二です。
優美にして荘厳、繊細にして素朴。端正な瓦屋根は日本建築の象徴と言えます。
経年変化を楽しむ
上述の通り、いぶし瓦の色は焼き上げる際に表面にできる炭素膜がつくりだしているものです。
ただしこの炭素膜は永久的なものではありません。
経年とともに剥がれていき、いぶし瓦は少しずつ変色していきます。
剥がれによってできる色ムラは、いぶし瓦特有の風合い・趣でもあり人気の理由のひとつです。
これが気になる場合は定期的なメンテナンスを行う必要があります。
尚、炭素膜の剥がれは耐久性には影響を与えないため、剥がれたからといって脆くなっているわけではありません。
抜群の耐久性の高さ
いぶし瓦はほとんどメンテナンスフリーと言われているほど、耐久性に優れています。
そのため瓦自体の経年劣化はほとんど発生しません。
上述の通り、表面の炭素膜の剥がれはあるものの耐久性には影響を与えないためです。
ただし棟(屋根棟)の漆喰は経年劣化が発生するため、屋根全体がメンテナンスフリーというわけではなく、20~30年に1回程度のメンテナンスを推奨します。
とはいえこのメンテナンス頻度は他の屋根材に比べてとても少ないです。
棟の漆喰の経年劣化については、以下の記事で解説しています。
いぶし瓦の取り扱いには注意が必要
いぶし瓦は表面に油がつくととれません。
そのためいぶし瓦を荷揚げした業者は手の油をつけて汚してしまわないよう、細心の注意を払う必要があります。
いぶし瓦を使用した施工事例
【一ノ瀬瓦工業】山梨県笛吹市の住宅
純和風な住宅の屋根に使用したケースです。
王道にして最大限いぶし瓦の魅力が発揮される家屋です。
【石川商店】東京都渋谷区の飲食店
日本家屋や神社仏閣に使用されることの多いいぶし瓦ですが、こちらは飲食店の店先に使用したケースです。
まとめ
いぶし瓦の魅力が伝わったでしょうか。
デザインの美しさだけでなく、耐久性の高さも兼ね備えた魅力的な屋根材のひとつです。
いぶし瓦を使用した屋根に興味を持たれた方はお気軽にご相談ください。
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