瓦屋根の一種もしくは瓦屋根の施工方法と勘違いされることも多い「瓦棒葺き」について、その特徴を解説します。
雨漏りリスクを最小限に抑えたい方には適した屋根かもしれません。
また瓦棒葺きに似たものとして挙がる「立平葺き」との違いについても解説します。
屋根材もしくは屋根の施工方法を検討する際の、参考にしていただければ幸いです。
瓦棒葺きとは
金属板と瓦棒を用いた施工方法
瓦棒葺きとは、金属の板と瓦棒を用いて屋根を葺く手法のことです。
瓦棒葺きで施工した屋根を瓦棒葺き屋根と言います。
瓦棒とは「心木(芯木)」という各木材を「キャップ(カッパ)」という字型の板金で覆ってつくられた棒状の建材で、「溝板/ドブ板」という金属板とともに使用されます。
瓦棒葺きに使用される建材の呼び名は地域や業者などによって異なるため、ローカル色が出る部分です。
瓦棒葺きは多くの施工方法とは異なり、勾配の緩やかな屋根にも行うことができます。
元々はトタン屋根に用いられていた
瓦棒葺きや瓦棒葺き屋根はトタン屋根のことである、と言う方もいるほど瓦棒葺きは元々トタン屋根に用いられた施工方法でした。
トタン屋根は今でも自転車小屋・倉庫の屋根や1階の下屋根などに見かけることもあります。
しかし現在はトタンが屋根材に使用されることが減っているため、瓦棒葺き=トタン屋根とも限らなくなっています。
トタンに代わって普及したガルバリウム鋼板
トタンに代わって採用されることの増えている屋根材が、ガルバリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板がトタンに代わって普及した最大の理由は、金属の頑丈さ・防水性の高さと錆びにくさを兼ね備えている点でしょう。
トタンは安価で扱いやすいことが魅力として一時期は広く普及したものの、金属であるために錆びやすいことがネックでした。
耐用年数は、トタンが25~30年程度であるのに対し、ガルバリウム鋼板は30~35年程度です。
ガルバリウム鋼板およびガルバリウム鋼板屋根の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
瓦棒葺きの特徴
瓦棒葺きのメリット
雨漏りリスクが低い
金属屋根全般に共通するメリットに、雨漏りリスクが低いことが挙げられます。
これは金属に吸水性がないことが理由です。
中でも瓦棒葺きは排水性が高いため、特に雨漏りリスクが低いです。
瓦棒葺きは棟に対して垂直に瓦棒があるため(地面と平行に凹凸がないため)多少勾配が緩やかでも屋根の上に雨水が留まらずスムーズに排水が行われます。
勾配の緩やかな屋根にも瓦棒葺きが行える理由は、この排水性の高さです。
また、瓦棒葺きは片面あたり大きな1枚の金属板で覆うこともあります。
そうすることによって継ぎ目が減り、雨漏りリスクがさらに低くなります。
工事費用が安い
瓦棒葺きには工場で予め加工された金属板が使用されるため、工事の手間がそこまでかかりません。
そのため工事費用は比較的安価です。
瓦棒葺きのデメリット
遮熱性・遮音性が低い
金属屋根全般に共通するデメリットに、遮熱性と遮音性が低いことが挙げられます。
金属の特徴である熱伝導率の高さと、薄い屋根材の特徴である音の反響のしやすさが理由です。
断熱材などを併用することをおすすめします。
心木の腐食リスクがある
瓦棒の内側には角木材が入っているため、腐食のリスクがあります。
木材を使用する屋根には避けられないリスクです。
そのため心木なしの瓦棒葺きもあります。
心木なしの瓦棒葺きは、心木ありの瓦棒葺きに比べると雨漏りリスクが低いです。
錆びるリスクがある
瓦棒葺きに使用されることの多いガルバリウム鋼板は金属屋根材の中では錆びにくいものの、絶対に錆びないというわけではありません。
定期的なメンテナンスを行っていないと、錆びてしまうことがあります。
錆が発生すると劣化がさらに進行するため早急に修繕を行いましょう。
瓦棒葺きと立平葺きの違い
垂木の有無
屋根材の下に垂木があるかないか、が最大の違いです。
垂木とは屋根材や野地板の下にある木枠のことで、多くの屋根に使用されています。
立平葺きは屋根の中では珍しく、垂木のない屋根です。
施工方法や外観が似ているため瓦棒葺きと立平葺きは比較検討されることも多いです。
立平葺きのメリット
立平葺きは瓦棒葺きと同様に金属屋根材、特にガルバリウム鋼板を使用することが多く、軽量さと工事費用の安さなどが魅力で人気が高まっています。
垂木のある瓦棒葺きに対して、立平葺きは垂木がないため雨水による腐食が発生しません。
当然屋根自体の重さも、立平葺きの方が軽量です。
立平葺きのデメリット
木材を使用しないため曲線的な(かまぼこのような)形の屋根もつくることができる一方で、複雑な形状の屋根には向きません。
まとめ
瓦棒葺きも立平葺きも、ガルバリウム鋼板を使用することが多いため軽量で防水性も高い屋根です。
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