瓦屋根の工事を依頼した方の中には、作成してもらった見積書を見て専門用語に混乱したという方も多いのではないでしょうか。
瓦屋根の各部位にはそれぞれ名称がついています。
また、各部位の取り付け部を納まり(おさまり)と言い、工事の良し悪しを決める重要な箇所です。
業者がよく使う専門用語なので、覚えておくことをお勧めします。
本記事では、納まりが重要な屋根棟を中心に各部位の説明をさせていただきます。
棟(むね)
棟とは、屋根の面と面が交差し山型になっている部分を指します。
「屋根棟(やねむね)」とも呼ばれ、大型台風がきた際には落下や浮きが心配される部分です。
また、棟の中にも形状や素材によって種類が細分化されます。
瓦屋根のてっぺんの棟については下記記事で詳しく説明しています。
修理する場合の費用感などは下記記事で詳しく説明しています。
大棟(おおむね)
屋根の頂点で地面と水平に葺かれている棟のことです。
ただし会話の中では「棟」と言うとこの大棟を指すことが多く、例えば「棟が崩れている」と言われた場合は「大棟が崩れている」と認識して良いでしょう。
厳密には大棟は棟の種類のひとつですが、棟と大棟はほぼ同意味で使われることが多いということです。
熨斗瓦(のしがわら)を数段積み上げ、最上段に棟瓦(むねがわら)を重ねることで大棟を作ります。
隅棟(すみむね)
大棟から斜め下方向(軒先方向)に下っている棟のことです。
「降棟(くだりむね)」と呼ぶこともあり、ほぼ同意味で使いますが「入母屋屋根(いりもややね)」という屋根の形状においては隅棟と降棟は区別されることが多いです。
屋根の上部で大棟から伸びている棟が降棟、降棟から枝分かれし下部にあるのが隅棟と区別します。
稚児棟(ちごむね)
隅棟の先が二段になっている場合の、下方の短い棟のことです。
漆喰(しっくい)
屋根棟の下にある、半月型の白い部分です。
棟瓦を積む際の葺き土を雨水から守るという役割も持ちますが、一番は美観を良くするために施工されています。
漆喰はおおよそ10年で劣化し始め、ひび割れや欠けが起きることがあります。
ひび割れや欠けが起きるとすぐに雨漏りが発生するわけではないものの、15~20年に1度程度はメンテナンスが必要です。
漆喰の修理については、下記記事で詳しく説明しています。
軒先(のきさき)
屋根の面を下方向に下り、外壁より外側に出っ張っている部分です。
ここに葺かれる瓦を軒瓦(のきがわら)と呼びます。
出っ張っていることによって、外壁や窓にあたる直射日光の調整や雨水の吹込みの防止をするのです。
屋根に落ちた雨水の流れ落ちる先でもあるため、基本的には雨水を地上に排水するために雨樋(あまどい)が取り付けられます。
けらば
外壁から出っ張っている屋根部分のうち、雨樋のついていない部分です。
ここに葺かれる瓦を袖瓦(そでがわら)と呼びます。
屋根の端部分という点では軒先と同じですが、軒先が屋根面の下側とするとけらばは屋根面の横側です。
役割は基本的に軒先と同様と考えていいでしょう。
ちなみにこれは軒先にも言えることですが、近年はデザイン重視により長さをあまり出さない傾向にあります。
ただし機能を重視するのであれば、軒先もけらばも一定の長さは設けた方が良いです。
平部(ひらぶ)
屋根の平面部分で、屋根面積の大部分を占める箇所です。
ここに葺かれる瓦を桟瓦(さんがわら)、平瓦(ひらがわら)、地瓦(じがわら)などと呼びます。
谷(たに)
屋根の面と面が合わさって谷折りになっている部分です。
瓦屋根といえど細部まですべて瓦でできているわけではなく、谷部は板金で施工されます。
万が一ここから雨漏りが発生した場合、凹んだ形状故に雨水が溜まりやすいため室内被害が大きくなります。
まとめ
屋根棟ひとつとっても、非常にたくさんの分類分けがあるのです。
これほど多い理由のひとつには、瓦屋根の歴史の古さが挙げられます。
長い歴史の中で、専門知識を深めた職人たちによってより細かく分類分けされていったのでしょう。
各部位の間の取り付け部の納まりによって、見た目だけでなく耐久性も大きく変わっていきますので気にしてみてください。
新築時やリフォームの業者との会話や書類の作成・読解において、本記事の情報が少しでもお役に立てば幸いです。
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屋根のてっぺんリフォームとは
東京・神奈川・山梨の創業80年を超える老舗瓦屋3社による、屋根のてっぺんにある棟(むね)についての情報発信サイトです。
建物の中でも非常に重要な役割を持つ棟ですがその認知度は低く、気付いた時には取り返しのつかない事態になった家を瓦屋として多く見てきました。
また認知度の低さを悪用した悪徳業者も増えており、その被害は年々増加しています。
被害を未然に防ぐことが、老舗瓦屋としての使命と思い同じ志を持った3社共同で運営しております。