瓦屋根の美観を保つために!熨斗瓦(のし瓦)の修理とメンテナンスのすべて

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瓦屋根は日本の伝統的な建築において重要な役割を果たしていますが、その中でも特に重要なのが「のし瓦(熨斗瓦)」です。本記事では、のし瓦の役割や施工方法、メンテナンス方法について詳しく解説します。のし瓦の特徴を理解し、適切な管理を行うことで、屋根の美観と機能を維持し、建物の寿命を延ばすことが可能です。

のし瓦(熨斗瓦)とは?

のし瓦(熨斗瓦)は、瓦屋根の棟(むね)に使用される特殊な瓦で、和瓦の屋根に特に多く用いられています。のし瓦は、細長い短冊形をしており、棟の頂上部に積まれて屋根の防水性と安定性を高める役割を果たします。和瓦の屋根では、のし瓦を重ねて積むことで、屋根の高級感と防水機能を向上させる働きがあります。

 

のし瓦の役割

のし瓦は、屋根の棟部分において以下の重要な役割を果たしています。

防水性の強化

のし瓦を積み上げることで、雨水の侵入を防ぐことができます。特に、雨切り熨斗瓦は雨水を効率的に排水する設計で、棟内部への浸水を防ぎます。これにより、屋根全体の防水性が大幅に向上し、長期間にわたり雨漏りを防ぐことが可能となります。

耐風性の強化

棟部分の強度を高めることで、強風時の瓦の飛散を防ぎます。のし瓦を重ねて積むことで、風の影響を受けにくくなり、地震や台風などの自然災害時にも屋根の一体性を保つことが可能です。これにより、建物の安全性が向上します。

建物の美観向上

のし瓦を重ねて積むことで、屋根に重厚感を与え、建物全体の風格を高めます。棟の高さや瓦のデザインによって、屋根の印象を大きく左右し、伝統的な美しさと現代的なデザインの調和を実現します。これは、家の外観を格上げする重要な要素です。

 

のし瓦の施工

のし瓦は通常、1枚の瓦を半分に割って施工されます。この方法には以下の理由があります。

大きさを合わせる

瓦は焼き物のため製造時にサイズが微妙に異なることがあります。1枚を2枚に割って施工することで、瓦の大きさを調整しやすくなり、隙間やずれが生じるのを防ぐことができます。

製造効率の向上

1枚の大きな状態で焼くことで、窯を効率よく使用し、一度に多くの瓦を生産できます。これにより製造効率が向上し、コスト削減にもつながります。

隙間を無くす

施工時には、棟の直線を維持するために糸を張ってガイドラインを設定し、瓦を千鳥状に積み上げていきます。これにより、隙間を無くし、防水効果を高めます。

 

のし瓦の劣化症状とメンテナンス

のし瓦は、自然災害や経年劣化によって以下のような問題が生じることがあります。

ズレやヒビ

強風や地震の影響で瓦がズレたりヒビが入ると、防水性が低下します。この状態を放置すると、雨水が屋根内部に浸入し、雨漏りを引き起こす原因となり、建物の耐久性が損なわれる恐れがあります。

漆喰の剥がれ

のし瓦を固定する漆喰は、経年劣化により剥がれることがあります。漆喰が剥がれると瓦が動きやすくなり、棟の安定性が低下し、風や振動に対して弱くなってしまう可能性があります。

定期的なメンテナンスを行うことで、これらの問題を未然に防ぐことができます。専門業者による点検を10年ごとに行うことが推奨されます。

 

のし瓦の修理方法

のし瓦の劣化が進行している場合、以下の修理方法が一般的です。

棟取り直し工事

棟全体を解体し、基礎からのし瓦を積み直す工事です。まず既存の瓦を丁寧に取り外し、棟の土台部分を補強します。瓦の状態が良好であれば、取り外した瓦を再利用して積み直します。この工程では、瓦のズレや隙間を防ぐために、瓦を正確に配置し、銅線でしっかり固定することが重要です。棟取り直しにより、屋根全体の防水性と安定性を回復させます。

漆喰補修工事

劣化した漆喰を除去し、新しい漆喰を塗り直す工事です。古い漆喰は剥がれやすいため、完全に取り除いた後に、漆喰を詰め直し、丁寧に仕上げます。この補修により、瓦の固定力が強化され、防水性が回復します。漆喰の定期的なメンテナンスは、屋根の長寿命化に寄与し、雨漏りの予防に効果的です。

修理の費用は、工事の範囲や瓦の状態によりますが、棟取り直し工事は10万円〜30万円、漆喰補修工事は5万円〜15万円が一般的です。

 

のし瓦の種類と選び方

のし瓦にはさまざまな種類があり、用途やデザインに応じて選ぶことが重要です。

雨切り熨斗瓦

雨切り熨斗瓦は、雨水を効率的に排水するためのデザインが施された瓦です。雨水が棟に浸入するのを防ぐ役割を果たし、雨漏りのリスクを低減するために重要な役割を担います。

松皮菱熨斗瓦

松皮菱熨斗瓦は、表面に装飾が施されたデザイン性の高い瓦で、伝統的な和風の美を引き立てます。屋根に独特の雰囲気を与え、建物全体の外観を格調高く演出します。

選ぶ際は、建物のデザインと調和するものを選ぶとともに、防水性能や耐久性も考慮する必要があります。

 

まとめ

のし瓦は、屋根の防水性を高め、建物の美観を向上させる重要な要素です。定期的なメンテナンスを行い、劣化を早期に発見し対処することで、屋根の寿命を延ばすことができます。専門業者による定期点検を通じて、安心で快適な住環境を維持しましょう。


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