【屋根の形状ガイド】イラストと写真で形状ごとの特性を紹介

ブログ

屋根の形状にはたくさんの種類があることをご存知でしょうか。

屋根と聞いて一番に思い浮かぶのはイラストでよく見るような三角形のものかもしれませんが、実際に外を出歩いて見渡してみると様々な形の屋根があることに気付くと思います。

本記事では、日本でよく見かける主要な屋根の形状を紹介します。

屋根の形は棟の構造で決まる

屋根の形は「棟(むね)」の構造によって決まると言っても過言ではありません。

棟の構造とは、具体的には大棟の有無や隅棟の本数などです。

棟の役割や重要性については、以下の記事で詳しく紹介しています。

屋根のてっぺんに注目!屋根の分水嶺【棟】の役割や特徴を解説
屋根のてっぺんと聞いて、どこを思い浮かべるでしょうか。屋根のてっぺんで面と面が合わさり山型になっている箇所を「棟(むね)」もしくは「屋根棟(やねむね)」と言います。本記事では棟の持つ役割や特徴、トラブル防止に役立つ情報を紹介しています。

特性様々!代表的な屋根の形

最もベーシックな「切妻屋根」

本を開いて逆さに置いたような三角形の屋根です。

大棟から左右に屋根面が下がっていて、隅棟がありません。

最もベーシックなデザインと言えるでしょう。

構造がシンプルで棟が少なく水捌けも良いため雨漏りのリスクが低く、工事費用やメンテナンス費用を抑えられます。

またシンプルさ故に屋根材を選ばないため、洋風な家にも和風な家にも合わせやすいです。

将来大幅なリフォームをする可能性がある方にとっても、扱いやすいデザインでしょう。

ただし家の妻側壁面(イラスト参照)が紫外線に当たりやすいため劣化しやすい傾向にあります。

落ち着いた雰囲気の「寄棟屋根」

大棟から4方向に屋根面が下がっている屋根です。

大棟の両端に2つずつ隅棟があります。

落ち着いた雰囲気になりやすいデザインです。

全方向に屋根面がありすべての外壁が軒先によって太陽光や雨水から守られるため、耐風性に優れている且つ外壁面が比較的劣化しづらいです。

ただし棟の数が多く構造が複雑化しているため、工事費用やメンテナンス費用は高額となる傾向にあります。

また屋根面が狭いためソーラーパネルの設置を検討している家には向いていません。

スタイリッシュな「片流れ屋根」

片方にだけ傾斜がある屋根です。

スタイリッシュな印象を持たれるデザインです。

屋根面が大きいため太陽光パネルの設置に向いています。

他の屋根に比べて広い敷地を必要としない点は大きな特徴のひとつでしょう。

構造がシンプルなため工事費用やメンテナンス費用、頻度、工期を最も抑えられます。

ただし換気棟の設置ができないため自然換気がしづらく、切妻屋根同様の理由で外壁の劣化が早い傾向にあります。

またひとつの雨樋に雨水が集中するため、雨樋のメンテナンスは定期的に必要です。

雨樋が原因で引き起こる雨漏りについて原因と対策を徹底解説
雨樋は屋根に降った雨水の排水機能を持っています。雨樋に水漏れが発生した場合、二次トラブルとして住宅の雨漏りを引き起こすことがあります。本記事では雨樋の水漏れの原因と、雨漏りに繋がるメカニズムおよび対策を紹介しています。

屋上を有効活用できる「陸屋根」

地面と水平になった平たい屋根です。

所謂屋根とは異なり屋根材は使用せず防水シートを使用して施工します。

屋上がある家や、鉄筋コンクリート造のビルのような建物で見られることが多いです。

掃除やメンテナンスが比較的簡単に済み、屋上スペースを有効活用することができます。

ただし屋根に傾斜がないため水捌けが悪く、屋根部分への防水加工や高い防水性能を持つ塗料が必要となります。

そのため同じ屋根材を使用する他の屋根形状と比べて、塗料単価が高くなる傾向にあります。

また太陽光パネルを設置する場合は、パネルを斜めに設置する必要があるため架台の設置が必要です。

丈夫で寒冷地に向いている「方形屋根」

ピラミッド型の屋根です。

大棟はなく1つの頂点から4つの隅棟が下がっていて、4枚の三角形の屋根面からなっています。

ピラミッド型の屋根のため、屋根の下の部屋は正方形に近い形である必要があります。

四方にバランスよく屋根面が配置されているため、耐震性耐風性に優れていて丈夫です。

さらに均等に雨や雪を分散させることができるため、雪おろしをしやすいという点で寒冷地に向いている形状と言えます。

寄棟屋根と同じく、棟の数が多いため工事費用やメンテナンス費用は高くなるでしょう。

また、屋根材が劣化したときの雨漏りリスクが高い傾向にあります。

格調高い雰囲気の「入母屋屋根」

屋根の上部が切妻屋根、下部が寄棟屋根の構造をした屋根です。

上部の切妻屋根のけらば中腹から、屋根四隅の軒先に向かって降棟が伸びた形です。

神社仏閣にも多く使われる日本の伝統的な屋根の形で、美しく仕上げるには熟練の職人技術を要します。

入母屋屋根には日本瓦が使用されることがほとんどのため、そもそも素材が圧倒的に丈夫です。

また寄棟屋根同様、軒先によって外壁が太陽光や雨水から守られるため外壁面の劣化も遅い傾向にあります。

さらに棟が多いため、屋根裏と住居スペースに十分な空間ができるため空気の流れがスムーズになり断熱性に優れ室内結露のしづらい家となります。

ただし棟が多く構造の複雑さ故に工事費用やメンテナンス費用は各種類の中で最も高いです。

自然光を多く取り入れられる「差しかけ屋根/招き屋根」

1階と2階で段違いになった屋根です。

1階部分が差しかけ屋根、2階部分が招き屋根となっていて、この組み合わせで施工されることが多いため一緒に紹介しています。

招き屋根とは切妻屋根の一方を長くして一方を短くしたもので、差しかけ屋根とは片流れの屋根を母屋に対して差し掛けたものです。

切妻屋根と片流れ屋根のハイブリッドのようなもので、費用は抑えつつ片流れ屋根よりも通気性の良い屋根が作れます。

最大の特徴は、屋根と屋根の間に外壁がある点です。

外壁があることで2階にロフトや天井裏スペースを作りやすくなり、そこに窓を設置することで光を室内に取り入れることが出来ます。

まとめ

屋根の形ごとにメリット・デメリットがあります。

外観の好みだけでなく生活スタイルに合った屋根の形を選ぶことが、快適な生活を送るうえで非常に大切です。

また以下の記事では、もう少し珍しい屋根の形状を紹介しています。

【屋根の形状ガイド】こだわりたい人向け!珍しい形状を紹介
ひとつ前の記事で、日本でよく見かける主要な屋根の形状を紹介しました。主要と言っても結構な種類があるものの、実はまだ紹介していない屋根形状があります。本記事では、少し珍しい屋根形状や一般住宅では用いられないような特殊な屋根形状を紹介します。

棟の修理・点検の事なら、屋根の専門家にお気軽にご相談を

どんな些細なご不安でもまずはご相談ください。

お問い合わせエリアに応じて、創業80年以上の実績と経験のある我々が対応させていただきます。

お問い合わせフォームまたは下記電話よりご連絡ください。

東京エリア:株式会社石川商店(03-3785-1616

神奈川エリア:株式会社いらか(0463-34-3501

山梨エリア:有限会社一ノ瀬瓦工業(0120-492-901

(上記エリア以外でも、対応可能な場合もあります)

対応が難しいエリアの場合は信頼できる全国の屋根屋さんを紹介させていただきます。

屋根のてっぺんリフォームとは

東京・神奈川・山梨の創業80年を超える老舗瓦屋3社による、屋根のてっぺんにある棟(むね)についての情報発信サイトです。

建物の中でも非常に重要な役割を持つ棟ですがその認知度は低く、気付いた時には取り返しのつかない事態になった家を瓦屋として多く見てきました。

また認知度の低さを悪用した悪徳業者も増えており、その被害は年々増加しています。

被害を未然に防ぐことが、老舗瓦屋としての使命と思い同じ志を持った3社共同で運営しております。