瓦屋根の補修方法としてよく耳にする「ラバーロック工法」。安価で簡単な補修法として提案されることが多いですが、この工法には隠れた問題が多く、専門家の間では推奨されていません。本記事では、ラバーロック工法の特徴やデメリット、悪徳業者の手口、そして適切な補修方法について詳しく解説します。瓦屋根の補修を検討している方はぜひ参考にしてください。
ラバーロック工法とは?
ラバーロック工法の概要
ラバーロック工法とは、瓦屋根の隙間をシーリング材で埋める補修方法です。瓦同士をシーリングで固定することで、雨漏り防止や耐震性向上を図るとされています。新築時には行われない工法であり、補修時にのみ採用されることが特徴です。外観上は瓦の隙間に白いシーリング材が見えるため、施工された屋根は簡単に見分けられます。
なぜラバーロック工法が行われるのか?
ラバーロック工法は、その安価さと簡便さが魅力として提案されることが多いです。葺き替えや大規模な補修に比べてコストが低いため、応急処置として行われるケースもあります。しかし、その裏には多くのリスクが潜んでいることを知る必要があります。
ラバーロック工法のデメリット
雨漏りのリスクが高まる
瓦同士の隙間をシーリング材で埋めると、一見雨漏りを防げるように思えます。しかし実際には、雨水が瓦下に侵入した場合、その水が排水される経路をふさいでしまいます。結果として、雨水が内部に蓄積し、屋根の下地や内部構造にダメージを与え、雨漏りを助長する原因となります。
屋根の換気を妨げる
瓦屋根は通気性が良いことで知られていますが、ラバーロック工法を行うと通気性が損なわれます。これにより、湿気が屋根内部にこもり、桟木や野地板の腐食が進行しやすくなります。湿気は建物全体の寿命を縮める大敵です。
耐震性・耐風性の悪化
ラバーロックによる接着は、耐震性や耐風性の向上を目的とすることが多いですが、実際には逆効果です。地震時には接着された瓦が一塊となって落下するリスクが高まり、被害を拡大させる恐れがあります。また、シーリング材の接着力では強風による瓦の飛散を完全に防ぐことはできません。
美観やメンテナンス性の低下
施工直後は目立たないシーリング材も、時間の経過とともに汚れが付着しやすくなります。特に明るい色の瓦では目立ちやすく、美観を損ねる要因となります。また、補修や葺き替え時にはシーリング材の除去が必要となり、手間とコストが増える点も問題です。
ラバーロック工法を勧められる理由と悪徳業者の手口
悪徳業者の典型的なセールストーク
ラバーロック工法を提案する業者が使う典型的なセールストークには以下のようなものがあります:
- 「雨漏り防止になります」
- 「耐風性や耐震性が向上します」
- 「簡単にできてコストも安いです」
一見合理的に聞こえるこれらの説明ですが、専門的な知識に基づいていない場合が多く、結果的にトラブルを引き起こすことが少なくありません。
被害事例と対策
実際にラバーロック工法を行った屋根で雨漏りや美観の悪化が発生した例は少なくありません。悪徳業者に引っかからないためには、以下のポイントを押さえましょう:
- 事前に複数の業者から見積もりを取る
- 屋根の状態について詳細な説明を求める
- ラバーロック以外の選択肢についても提案を受ける
ラバーロック工法に代わる適切な補修方法
瓦屋根の部分補修と葺き直し
瓦屋根のトラブルは、部分的な瓦の差し替えや葺き直しで対応可能なことが多いです。問題箇所を特定し、適切な修繕を行うことで屋根全体の寿命を延ばすことができます。
防災瓦や釘増し打ちを活用した安全対策
瓦の耐風性や耐震性を高めるためには、防災瓦の使用や釘増し打ちが効果的です。これらの方法は確実性が高く、長期的な視点でのメンテナンスに適しています。
ラバーロックを提案された場合の対処法
ラバーロック工法を提案された場合は、即決せずに複数の専門業者に相談してください。特に瓦屋根の経験が豊富な業者に意見を求めることで、適切な対策を見つけられる可能性が高まります。また、応急処置としてラバーロックを選択する場合でも、釘の増し打ちなどの併用を検討することが重要です。
まとめ
ラバーロック工法は、その簡便さと低コストが魅力として提案されることが多い一方で、多くの問題を引き起こす可能性があります。雨漏りや耐震性・耐風性の悪化、さらにはメンテナンス性の低下といったリスクを考慮すると、ラバーロック工法は避けるべき選択肢といえるでしょう。瓦屋根の補修を検討する際には、複数の専門業者に相談し、最適な方法を見極めることが重要です。本記事を参考に、安全で長持ちする補修方法を選んでください。
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