凍害対策について解説|寒冷地や海岸地域における石州瓦の強みとは?

屋根の凍害対策について 石州瓦の強み ブログ

石州瓦(せきしゅうがわら)は、耐久性の高さや美しい色合いから日本の住宅に広く使用されている瓦です。特に凍害や塩害に強い特性を持ち、寒冷地や海岸沿いの地域で多く利用されています。この記事では、石州瓦が凍害に対してどのように強いのか、その理由やメリット・デメリットも含めて詳しく解説していきます。

石州瓦とは

石州瓦屋根

石州瓦の歴史と生産地

石州瓦は、島根県の石見地方を中心に生産される伝統的な瓦で、日本三大瓦の一つとして知られています。江戸時代からの歴史を持ち、石見地方が「石州」と呼ばれていたことに由来し、石州瓦と名付けられました。現在も島根県の都野津地区をはじめ、地元の職人たちによって高品質の瓦が生産されています。

【瓦の種類ガイド】産地ごとに魅力も異なる瓦の特徴を紹介
日本3大瓦と呼ばれる有名な瓦をご存知でしょうか。瓦には有名な産地が3種類あり、それらを総称して日本3大瓦と言っているのです。本記事では、産地別に瓦の種類を紹介します。産地ごとに特性があり、耐久性やメンテナンス頻度も大きく異なるのです。

石州瓦の製造過程と赤褐色の理由

石州瓦は、地元で採取された高品質な粘土を1200度以上の高温で焼き上げることで作られます。この高温焼成によって、石州瓦は非常に硬く耐久性のある仕上がりとなります。また石州瓦の赤褐色は、釉薬に「来待石(きまちいし)」という鉄分を含む石を使うことから生まれます。この独特の色合いと質感が伝統的な日本家屋によく似合い、美観をも兼ね備えた瓦となっています。

 

石州瓦の凍害への強さ

石州瓦

凍害とは?

凍害とは、瓦に水分が浸入し低温環境でその水分が凍結と融解を繰り返すことで瓦が割れてしまう現象です。寒冷地では冬季にこの凍害が発生しやすく、耐候性の低い屋根材はひび割れや破損の原因となります。

石州瓦が凍害に強い理由

石州瓦は、凍害に強い屋根材として知られています。その理由の一つが、石州瓦の「吸水率の低さ」にあります。通常の瓦には小さな気孔があり、これが水分を吸収しやすい原因となるのですが、石州瓦は1200度以上の高温で焼成されるため、気孔が少なく水分をほとんど吸収しません。したがって、寒冷地での凍結と融解によるダメージを受けにくく、瓦の寿命が長く保たれるのです。この特性により、雪の多い地域や氷点下になる環境でも安心して使用できる瓦として重宝されています。

 

石州瓦の耐候性とその他のメリット

塩害への耐性

石州瓦は、凍害だけでなく塩害にも強いという特徴を持ちます。塩害とは、海辺に住む住宅で問題となる現象です。海風に含まれる塩分が屋根材に付着し、金属屋根などの場合は腐食を引き起こすことがあります。しかし、石州瓦は吸水率が低いため塩分を吸収しにくく、腐食のリスクを抑えることができます。こうした性質から、石州瓦は寒冷地だけでなく海岸地域でも広く使用されています。

耐火性・耐風性の高さ

石州瓦は、焼成温度が高いため耐火性が非常に高く、火災が発生した場合でも瓦が燃えずに延焼を防ぎます。また、石州瓦は風に強く設計されています。瓦同士がしっかりと噛み合う構造のため、強風や台風に耐えやすいのです。

 

石州瓦のデメリットと対策

重量による構造への影響と補強の必要性

石州瓦は、その高い耐久性や防水性の反面、重量があることがデメリットとされています。ガルバリウム鋼板やスレートなどと比べると圧倒的に重いため、屋根全体の構造や耐震性を考慮する必要があります。特に地震の多い地域では屋根の重量による揺れの影響が大きくなるため、建物全体の耐震補強が必要です。

施工コストと職人の技術

石州瓦の施工には、一般的な屋根材に比べて手間と時間がかかり、また熟練した職人の技術も求められます。このため施工コストはやや高めになります。しかしその耐久性の高さから修繕や交換の頻度が低く済むため、長期的に見ればコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

メンテナンスの必要性と対策

石州瓦は耐候性に優れ、メンテナンスの頻度が少ない点がメリットです。ただし、長年使用していると、瓦の割れや欠け、苔の発生といったメンテナンスが必要な場面も出てきます。こうした場合には、割れた瓦を交換するなど早めの対応が重要です。定期的に屋根の状態をチェックし、必要に応じて専門業者に点検を依頼することで、石州瓦の寿命を延ばすことができます。

 

石州瓦の使用が推奨される地域と条件

寒冷地や海岸沿いの地域での導入事例

石州瓦は、凍害や塩害に強いため、寒冷地や海岸地域での利用に最適です。ただし北海道など非常に積雪量の多いエリアでは、石州瓦を含め瓦屋根を採用している住宅はやや少ないです。石州瓦がいくら凍害に強いといえど、積もった雪の重さが加わった瓦屋根の重量は相当なもので、屋根全体に大きな負荷をかけてしまうためです。しかし瓦屋根にこだわりのある方は、瓦の中でも石州瓦を選択するケースが多いです。

また、塩害に強いため、近年では沖縄など暖かい沿岸地域での採用も増えています。

石州瓦が適した建物の条件

石州瓦は伝統的な日本家屋や和風建築に美しく馴染むため、古民家の修復や和風住宅での使用に適しています。また、耐震性を強化した構造の住宅であれば、石州瓦の重さによる地震リスクを軽減できるため、現代の住宅にも適した屋根材と言えるでしょう。

 

まとめ

石州瓦は、凍害や塩害に強いという耐候性の高さから、寒冷地や海岸沿いの地域で特におすすめの屋根材です。高温焼成により吸水率が低く、寒冷地でも安心して使用できる特性が多くの住宅で評価されています。重さや施工コストがデメリットとされることもありますが、定期的なメンテナンスを行うことで長期的に安定した耐久性を発揮する瓦です。

 


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